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画像診断に写らない問題を如何に対処するか2(筋肉編)

 人体において体重の40~50%を占めると言われる筋肉(正確には骨格筋)。ここではその筋肉の問題と、その対処法をざっくり説明させていただきます。
 下の表には、なんとなくそれがまとめてあるのですが、「筋肉(腱)の断裂」と言う問題は病院でも確認できるということで除外した場合、痛みの原因として考えられる筋肉の問題には、「筋肉の損傷」、「筋肉間における癒着」そして「筋肉の拘縮とそれに伴う血流障害」などが挙げられるかと思います。

痛みの原因として考えられる筋肉の問題 対応
筋肉の損傷(付着部炎・部分断裂) 安静、サポーター、ストレッチ、リリース
筋肉間における癒着 ストレッチ、運動、リリース
筋肉の拘縮とそれに伴う血流障害 ストレッチ、リリース、入浴、マッサージ、運動

 まずは筋肉の損傷。これは分かりやすいと思いますが、日々の生活において筋肉を繰り返し使う中で傷めたと考えて下さい。

画像診断に写らない問題を如何に対処するか2(筋肉編) 一歩掘り下げてみましょう。筋肉は基本的に関節をまたぐように着いています。そして筋肉が収縮することにより、その間に位置する関節が動くのです。
 
図2は図1の腕の部分を取り上げたものなんですが、赤色で示されています筋肉(上腕筋)が、上腕骨と前腕の骨(正確には尺骨)を結ぶ形で付着しています。これが収縮しますとその付着部AとBの距離が縮まり、その間にある関節(肘関節)には曲がる運動が起こります。

 肘を曲げていただくと分かるのですが、上腕筋が収縮する際、基本的には上腕骨に対して前腕の骨が動く形になります。解剖学では筋肉の付着部AとBを比較し、より動きの少ない側を起始、多い側を停止と呼んでいます。ですから上腕筋の場合、上腕骨に着部する側を起始、尺骨に付着する側を停止と呼ぶことになります。

 ちなみに、筋肉の収縮によって関節に起きる運動を、その筋肉の作用と呼びます。ですから、上腕筋は肘を曲げる作用をもつことになります。
 まとめてみましょう。「上腕骨に起始をもち、尺骨に停止をもつ上腕筋は、肘関節を曲げる作用をもつ」、こんな感じです。

 さて、解剖学を学んだところで、再び筋肉の損傷に戻りましょう。図では手に当たる部分に抵抗がかかっているのですが、例えばダンベルなどの重りを持ったとしましょう。
 そうした抵抗が軽ければ何ら問題はないのですが、それが重かったりしますと、筋肉やその付着部(起始・停止部)には多くの負担がかります。こうした結果、それらの部位に傷がついてしまうことがあり、これが痛みの原因となるのです。

 こうした場合は、安静にしたりテーピングやサポーターを用いたりと、患部に掛かる負担を抑えることが有効となります。またストレッチやリリースと言われる方法も、筋肉に柔軟性をつけ、患部に掛かる負担を軽減させるのに有効といえるでしょう。

画像診断に写らない問題を如何に対処するか2(筋肉編) さて、では次に筋肉間における癒着にまいりましょう。
 図2は腕や脚などの断面図なんですが、腕や脚では、中心の骨を取り巻くように筋肉が位置しています。そして、身体を動かす際、筋肉と筋肉の間(赤い✕印の部分)には僅かな滑り運動が起こります。

 これは筋肉がより効率よく収縮するためだと考えることができるのですが、何らかの原因により、こうした部位などに癒着が起きてしまうことがあるのです。

 この癒着は筋肉の収縮効率に影響を及ぼすのはもちろんのこと、関節の可動域制限にも関与します。また痛みの原因になる恐れもあります。
 こうした問題では、ストレッチや運動で体を大きく動かすことが有効となります。まあそうした動きで癒着の改善を目指すのですが、それでも治らない場合は、リリースなどのアプローチが有効になります。

 そして最後に筋肉の拘縮とそれに伴う血流障害。図2には血管も書いてあるのですが、筋肉は硬くなることで、その周辺を走る血管を圧迫してしまうことがあります。そしてこの圧迫は、血流障害とそれに伴う代謝異常および痛みの原因になると考えられます。
 このような問題には、ストレッチや運動、入浴にマッサージなど、筋緊張を緩和し血流を促進させることが有効となります。

 筋肉の問題がある場合は、患部を休めることも有効ですが、あるタイミングを過ぎたなら、痛くても動かしていったほうが良いように思います。気付かないうちに痛みの原因が変わっていることもありますから。

 とにかく、画像診断に写らない筋肉の問題でした。
 次は神経の問題を考えてみましょう。
   

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