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睡眠時または起床時における腰痛の原因と、その治療・対処法を考える

 50歳代の女性が、寝ている時または朝起きた時に感じる腰痛を主訴として私のところにおみえになりました。
 その方(以下Aさん)は数カ月前から、時々そうした痛みを感じてみえたようなのですが、このところその頻度が多くなったことと、痛みが多少強くなってきたことが気になり、来院に至ったのでした。

 痛みがある場合は視診や触診、そしてちょっとした検査も参考に患部を特定するのが基本だと思うのですが、Aさんの場合は痛みの起きるタイミングが寝ている時もしくは起床時限定であったため、私の前で痛みを再現することはできませんでした。歩いてもジャンプしても全く痛みは起きないわけで…。ですから患部を明確にすることはできなかったわけですが、ではいったい何が痛みの原因になっているのでしょうか?

 こうした場合にするべきことは、痛みの起きるタイミングに目を向けるということです。Aさんの場合ですと寝ている時や朝起きたときに痛いわけですから、つまり寝ている環境に目を向ける必要があるのです。

お話を伺ってみますと、その方は数年前から10センチ位のマットレスの上に布団を敷いて寝てみえるとのことでした。まあそれ以外にもいくつか確認させていただいたのですが、私はそのマットレスに問題があるのではないかと考えました。

睡眠時または起床時における腰痛の原因と、その治療・対処法を考える では図1を見て下さい。人が上向きに寝たとき、体重は床(布団)に分散されるのですが、その割合というのが後頭部8%、背部33%、殿部44%、ふくらはぎ15%が良いと考えられているようです。
 もちろん多少の誤差は問題のない範囲だと思いますし、人によってもこの割合は多少異なるかと思うのですが、これが大きく崩れたなら、痛みが起きる原因になると考えられます。

 ですから私は、Aさんが数年前から使用してみえるマットレスが劣化し(弾力性が低下し)、そのため特に負担のかかる殿部が図2のように沈み込むかたちになり、これが腰痛の原因になっているのではないかと推測したのでした。

 そして私がAさんに提案したのは、マットレスを交換すること、ではなく殿部のところにマットを敷いてもらうことでした。

 左に写真を載せてみたのですが、お風呂の入口辺りに置いておく足ふきマットってあるじゃないですか。
 あまりペラペラなものでは意味が無いですが、ちょっと厚みがあるものを図3のように殿部の下に仕込んでいただくことで、殿部から腰が沈み込むのを防ごうと考えたわけです。(Aさんには、マットレスと布団の間にそれを入れていただくことを提案しました)

 で、Aさんがどうなったかといえば、その一週間後に連絡を頂いたのです、その段階では痛みの発生はありませんでした。まあその方とはその後もお話をさせていただくことがあったわけですが、マットを敷いて以降、同様の痛みは起きていないとのことでした。

 まあ私がいきなりマットを買い替えていただくことをオススメしなかった理由は、痛みの原因がそこになかった場合の保険でもあったのですが、大したお金もかけずに痛みがなくなったことは良かったと思います。
 ちなみにAさんは、洗い替えとして用意してあった足ふきマットを敷いて試されたようですので、私のところで施術代を払われた以外は症状改善のためにお金を払ってはみえません。

 ということで、こうして寝ている環境が痛みの原因になるという事と、その場合、その環境を正せば痛みが改善するかもしれないという事を説明させていただきました。他にも睡眠中に痛みが起きる原因はいくつかあるのですが、それはまた次の機会に説明させていただきます。

 そういえば私のところにみえた患者様の中には、肩だか腰だかを痛めて整体院に行ったところ、「一日の約3分の1(8時間)を過ごす寝床(布団)は大切だから」などと言って、高価な布団を売りつけられそうになったと言ってみえた方がいらっしゃいました。

 確かに布団は大切だと思うのですが、お金を掛ける前にできることがあると僕は思うのですがいかがでしょうか?
   

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