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猫背姿勢は椎間板などの軟部組織に悪影響を及ぼし腰痛を起こす恐れがある

姿勢と腰痛を考える さて、以前の記事では「パソコンに向かう姿勢と肩こりの関係」を書いたのですが、ここでは「パソコンに向かう姿勢と腰痛の関係」を、更には日常によくある姿勢と腰痛の関係を説明させていただきます。
→以前の記事『パソコンに向かう姿勢(猫背)と肩こり・頭痛の関係を考える』はこちら

 では図1を見ながらまいりましょう。図1には一般的に正しいと言われる姿勢をとった時の背骨の状態が示してあるのですが、腰の部分を見て下さい。

 腰骨(こしぼね)のことを解剖学では腰椎(ようつい)Lumberと言っているのですが、その腰椎は5つあり、それらが前弯曲(前にカーブ)しているのが良い状態です。(※逆に背骨が後ろにカーブしていることを後弯曲と言います)
 この時、腰椎は体(体幹)の中心辺りに位置し、そこに掛かる重さを支えるのに適した状態にあります。

 しかしパソコンに向かい猫背になりますと、図2にありますように骨盤が後方に傾き、これに伴い腰椎も体幹の中心から後方に移動してしまいます。すると腰椎はその支持機能を大きく低下させてしまうのです。
 更に体幹が前に倒れやすくなるため、腰部の後方にあります関節包や靭帯、そして筋肉といった軟部組織には伸張ストレスが掛かることになり、これが腰痛の原因となります。

 また背骨(この場合は腰椎)の間には椎間板Intervertebral discという軟部構造があるのですが、それがまた痛みを起こす恐れがあります。(図3参照)

猫背姿勢は椎間板などの軟部組織に悪影響を及ぼし腰痛を起こす可能性がある

 椎間板は中心に位置する髄核Nucleus pulposusと、その周辺を覆うように位置する線維輪Anulus fibrosusにより構成され、一般的には脊柱にかかる負担を緩和する効果が知られています。(図4から6参照)
 このメカニズムはといえば、背骨が真っ直ぐなとき、これは図5の状態なのですが、椎間板に掛かる重さの多くを髄核が受け、それを左右(線維輪の側)に分散させることによってなされます。そして背骨が図6のように曲がった状態にあれば、髄核は背骨の広がった側に押し出されるように移動するのですが、この移動もまた重さの分散に関与すると考えられます。しかし、この移動が痛みの原因になる場合があるのです。

 たとえば腰椎がデスクワークなどの影響から後弯曲よりの時、軟部組織である線維輪の後部には、先に述べましたように伸張ストレスが掛かります。もちろんそれは痛みの原因になるのですが、更にここには髄核の後方移動に伴うストレスも加わることになります。そして、そうした髄核の後方移動に伴うストレスによって線維輪が損傷されると、これがまた痛みの原因となるのです。

猫背姿勢は椎間板などの軟部組織に悪影響を及ぼし腰痛を起こす可能性があるでは次に日常によくある姿勢と腰痛の関係を考えていきましょう。まずは脚を組んだ姿勢。(図7参照)
 これは実際に脚を組んでいただくと分かるのですが、脚を組みますと基本的に骨盤は後方に傾きますよね?あとは上記と同じ理由から腰痛が起きると考えられます。

 そして次に車に乗った時の姿勢。これに関しては図8をご覧ください。図のようにシートを倒して運転される方は結構おみえになると思うのですが、そうしてシートを倒していますと骨盤も後方に傾きます。骨盤が後方に傾けば…。あとは上記と同じ理由から腰痛が起きると考えられます。
 またシートを倒していますと、ハンドルを握るために比較的腕を伸ばす必要があるのですが、こうして腕を突き出したような姿勢は、猫背に拍車をかけます。

 さて、次はちょっとイメージが変わるのですが図9を御覧ください。前かがみで作業する人が載せてあるのですが、この姿勢もまた腰痛の原因となります。
 これもまた、こうした姿勢をとっていただけば分かるのですが、前かがみの姿勢は腰椎部が後弯曲よりに傾くため、そこには軟部組織の伸張と、髄核の後方移動に伴うストレスが発生することになります。

 更に立って前かがみになった姿勢は、座っている時よりも多くの負担が腰部にかかるため、これは急性腰痛症、俗にいう「ぎっくり腰」の原因にもなります。(座った姿勢では、机に手を置いたり背もたれにもたれたりすることが腰部への負担を減らすと考えられます)

 ちなみに以前見ていたテレビでは、前かがみで10㎏の荷重を手に持つと、腰には290㎏の負担がかかると紹介されていました。その数字がどうやって導き出されているのかは分かりませんが、そうした過度のストレスは軟部組織の過剰な伸張と、それに伴う損傷を引き起こすばかりではなく、髄核の後方移動に拍車をかけ、髄核の突出、つまり椎間板ヘルニアを引き起こす恐れもあります。
 
これは図10にあるのですが、ヘルニアが発生した場合、その後ろには神経があったりするもんですから、神経症状まで起きてくる恐れもあります。

 とにかく腰椎は後弯曲よりになっていきますと腰痛を起こす恐れがあることを理解して下さい。

 では、こうした問題に対してどう対応するかという話なんですが、ズバリ「腰椎部における適度な前弯曲を維持するようにすればよい」のです。

 パソコンに向かうときは、モニターの位置などを調整し、腰の前弯曲が保持できるようにして下さい。(こちらに関しましては『パソコンに向かう姿勢(猫背)と肩こりの関係を考える』もご参照下さい)
 脚を組む癖があるならそれをやめて下さい。
 そして車のシートを倒している人は図11のようにシートを起こし、なるべく腰部の前弯曲が維持できるようにしてみてください。
 また図9のように前かがみなる方は、図12のように、膝と股関節を曲げて、なるべく背すじを伸ばしたままで前に傾くようにして下さい。

 私はなんであれ、腰椎の適切な前弯曲が保持できたらな、かなり高い確率で腰痛は軽減、もしくは改善すると考えています。ぜひ参考にしてみてください。

※腰椎部における前弯曲が過剰になりますと、これもまた痛みの原因になるため、文章中では「適度な前弯曲」などという言葉を使っています。ご了承下さい。

→関連記事『悪い姿勢の代表とも言える猫背姿勢になってしまう理由を説明します』はこちら
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