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パソコンに向かう姿勢(猫背)と肩こり・頭痛の関係を考える

パソコンに向かう姿勢(猫背)と肩こり・頭痛の関係を考える さて、まず図1を見ていただきましょう。みなさんはこんな姿勢、身に覚えはないでしょうか?
 パソコンの普及により、家庭でも机に向かわれる時間は増える一方だと思うのですが、そんな時になりがちな図のような姿勢。これは一般的に「猫背」と呼ばれているのですが、こんな姿勢はあんまり良くない。

 具体的に言えば、やはり「肩こり」や「腰痛」の原因になるということが挙げられるかと思うのですが、ここではそんなパソコン作業に伴う猫背姿勢と肩こりの関係を説明させていただきます。

 では図2を見て下さい。図には正しい姿勢をとった時の背骨の状態が表してあるのですが、正しい姿勢の時、頭は頚の骨(頚椎)の上にしっかりと載るかたちになります。
 しかし正しい姿勢とはいえ、頭には顔があったりしますので(正確には頭の重心位置が支点(×印)よりも前にあるため)、頭は前に傾く(前傾する)ようになっています。

パソコンに向かう姿勢(猫背)と肩こり・頭痛の関係を考える 図2の右側にはそれが図式化してあるのですが、頭の重さを6㎏とし、その内5㎏を頚椎が支えているとします。この場合、上記の理由から1㎏分が頭の前傾を起こすことになるのですが、しかし、そうして頭が前傾しても困るもんですから、首から肩の筋肉はその1㎏分を支えるべく頑張ります。

 まあこれに対応するため首から肩の筋肉は前面のそれよりも発達が良い(筋肉の量が多い)のですが、とにかく、「正しい姿勢であっても、首から肩の筋肉にはストレスが掛かるようになっている」ことを理解して下さい。

 では次に図3を見て下さい。そこには猫背姿勢の際の背骨の状態が示してあります。このように頭が前に出た状態を、頭部の「前突位」などと言うため、そう表記してあるのですが、この頭部前突位では、頚椎が前に傾く(前傾する)ため、頭の重さを支える機能が低下します。

  図3の右側では、頚椎が前傾したことにより、頭の重さ6㎏の内、2㎏しか支えることができなくなっていることにしてあります。すると頚椎が支えられない4㎏が頭部の前傾(正確には前突)に作用することになるのですが、実際は頭の重さだけでなく、頚椎部の重さなどもそこに掛かってくるため、図ではそれを「+α」として示してあります。

 もちろんこの頭部の前傾(前突)に対しても、首から肩の筋肉は頑張るわけですが、ではいったい、そこに掛かる「4㎏+α」とは、どのくらいになるのでしょうか?

 これに関しては人によって意見が異なるのですが、「頭部の前突により15キロ前後の負担が首から肩の筋肉に掛かる」と言われているようです。どうですか、15キロですよ。15キロの負担が肩に乗ったと思えば、肩こりが起きてもおかしくはありませんよね。
 これがパソコン作業に伴う猫背姿勢によって肩こりが起きるメカニズムです。

 さて、ではこれに対してどう治療したら良いのでしょうか?
 いろいろな方法があるかとは思うのですが、わたくしが最もオススメするのは「原因を断つ」という方法です。

 まあ今回の場合は、パソコン姿勢の弊害として肩こりを取り上げていると言う事もあるのですが、やはりパソコン姿勢がそうした問題の原因になるのであれば、それを断たなければ症状は改善しないのです。しかしそれは、パソコン仕事を辞めろと言っているわけではありません。

パソコンに向かう姿勢(猫背)と肩こり・頭痛の関係を考える そこのところが図4に示してあります。今回はデスクトップタイプのパソコンで考えてあるのですが、ズバリ、モニターの下に雑誌か何か(安定性を考えたなら木の板など)を入れて、その位置(目線)を上げてみてください。これが治療です。

 モニターが低いところにありますと、どうしても目線を下げることになります。そして目線が下がれば猫背になって…。これが肩こりの原因であるなら、その位置を高くすれば良いのです。

 まあ肩こりに関しては、先にも説明させていただきましたように、基本的に首から肩の筋肉には負担がかかるようになっているわけですから、症状が無くなるということは難しいのかもしれませんが、軽減することは大いに可能であると考えられます。

 また「肩こり」というのは、頚から肩にかけてある筋肉(僧帽筋など)が緊張している(疲労を抱えている)状態なのですが、そうした筋肉の緊張がありますと、それを起因とした頭痛(緊張型頭痛)が引き起こされる恐れもでてきます。
 実際、患者様を診させていただいてますと、肩こりよりもこの緊張型頭痛で悩んでみえる方もおみえになります。しかし、これも目線を上げることによって大いに改善される可能性があるのです。

 モニターの位置(目線)を高くすることは明日から、もしくは今からでもできることです。ぜひ試してみてください。ただ、いくら目線を高くしたからといっても、背すじを伸ばす意識がなければなんともなりませんので、目線を上げたことをきっかけに、背すじも伸ばしてみてください。

 さて、ここではパソコンに向かう姿勢を取り上げ、猫背と肩こりの関係を説明させていただきましたが、「パソコン作業に伴う猫背姿勢と腰痛」の関係に関しましては、次の記事「猫背姿勢は椎間板などの軟部組織に悪影響を及ぼし腰痛を起こす恐れがある」で説明させていただきます。よろしくお願いします。

※頭の重さに関してですが、「だいたい体重の一割」という考えを基に6㎏としてみました。ご了承下さい。
   

→次の記事『猫背姿勢は椎間板などの軟部組織に悪影響を及ぼし腰痛を起こす恐れがある』
→関連記事『慢性的な肩こりや腰痛を治療したいなら原因を叩け!』
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