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椎間板ヘルニアの一歩手前?と診断された男性、その痛みの原因は…。

 20歳の男性(以下Aさん)が腰部の痛みを抱えていました。
 具体的に言えば腰椎4番の少し右辺りにズキッとした痛みがあり、特に体幹を右に傾けたときに悪化するというものでした。あと腰から背中にかけて張りがあり、下肢への関連痛はなし。

椎間板ヘルニアの一歩手前?と診断された男性、その痛みの原因は…。 これが発生したのは三ヶ月程前。左になんとなく絵を載せてみたのですが、Aさんが高さ50センチほどのテーブルに飛び乗ろうとした時に、患部に違和感が起きたそうです。そしてそれがすぐに痛みとなり悪化したとか。

 その一週間後、Aさんは痛みが治まらなかったため病院でレントゲンとMRIを撮られたのですが、そこで言われたのは「椎間板ヘルニアの一歩手前」だったそうです。
 ヘルニアというのは突出を意味していますので、その一歩手前ということは何でしょう、椎間板の構成要素である線維輪の損傷とかってことが言いたかったんでしょうか?まあ詳しいことは分かりませんが、とにかくそこでは鎮痛剤と貼り薬の処方があったそうです。

 それでも痛みが変わらなかったAさんは整体に3度通われます。そこでは一時的に(1日位は)痛みが楽になるものの、すぐにぶり返してしまう状態だったため、そこにも行かなくなり現在に至ったようでした。
 そして縁があってか私が診ることになったのですが…。

 まずこうした場合、といいますかどのような経緯があろうが、私が最初にすることはただ一つ。今ある問題を明確にすることです。痛みが起きたのは確かに三ヶ月前かもしれませんが、その痛みが今の痛みと同じかどうかは分からないからです。

 実際に患者様を診させていただく時には、何処が痛いのかということを記録します。その上で何らかの施術をさせていただき、次回おみえになった時にその変化を確認するのですが、それをしますと数日の間であっても、痛みの部位が変わっていることは結構あることなのです。ただ患者様自身は「痛みは変わらない」などとおっしゃる事が多いのですが…。

 とにかく、数日でも痛みの部位が変わることがあるわけですから、三ヶ月同じ痛みが続くというのもちょっとどうですかね。それこそ骨に変形でもあれば別ですが、まあそんな感じで状態の把握作業に入ったのでした。

 最初にやろうと思ったのが整形学検査法。Aさんは腰の痛みを訴えてみえるわけですから、とりあえずSLR(Straight Leg Raising test)でもやってみようとしたのですが、これをしようとした時に気づいたことがありました。それが何かといいますと、Aさんの身体には反射的に力が入るということでした。
 反射的に力が入ってしまうので検査をすることはできませんし、更にAさんの場合は、力が入ってしまうためか患部(腰部)にも痛みが起きるという状態でした。

 でも、こうした方は結構おみえになります。それこそ触られることが苦手な方はもちろんですが、何処かを痛め、それをかばうために逃避姿勢をとってみえた方、もしくはその痛みに対して反射的に力が入ってみえた方にもそうした状態は診られることがあります。

 で、私はAさんの力が抜けない理由を、痛みに対して反射的に力が入るようになってしまった結果だと考え、そしてこの段階で、とりあえず力が抜けるようにすることを施術の目的にしたのでした。

椎間板ヘルニアの一歩手前?と診断された男性、その痛みの原因は…。 さて、では具体的に何をしたかといいますと、Aさんにうつ伏せになっていただき、脚の方からマッサージをしていきました。
 しかしこの時も、少し触っただけでもグッと力が入ってしまい、更に腰部にも痛みが起きる状態でしたので、腰を少し曲げてみたり、または膝を曲げてみたりして痛みの起こらない角度を探し、そしてマッサージを続けたのでした。

 先にも述べましたがこのマッサージの目的は、「とりあえず力が抜けるようになっていただくこと」ですから、私が押して圧を加えるタイミングで、Aさんには息を吐きながら力を抜くということを意識していただきました。
 更に筋肉が伸びることもイメージしていただきたかったため、そんな話もしながら数分それを続けたのでした。ちなみにこの「筋肉が伸びることをイメージする」に関しては、筋肉に正しい収縮パタンをインプットする効果があると私は勝手に考えています。

 とにかくそんな感じで数分のマッサージを行ったのですが、その後で状態を確認した時には、Aさんは力が抜けるようになっており、更に腰部の痛みも完全になくなっていました。もっと言えば、最初にしようとしました整形外科検査法(SLRなど)も難なくこなせ、それも陰性を示したのでした。

 その後Aさんには、その2日後と一週間後にお越しいただき経過を確認させていただいたのですが、痛みは完全に無くなっているとのことでした。

 まあこの方の場合、最初に来院された時の動作(歩いたり座ったり)の段階で、どうとでもなる(治せる)という気がしたのですが、本当にそうなった感じですね。

 私達の身体には、何らかの理由により誤った筋肉の使い方がインプットされることがあり、それが痛みの原因になることがあるというお話でした。

   

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